最適な保険活用のためには、リスク対応策の全体像(図表2)
からも考える必要があります。リスク対応策は、大きく事故や損失を減らそうとするリスクコン
トロールと事故に備えて財務的な準備をするリスクファイナンシングに分けられ、さらにリスコ
ントロールは事前対策と事後対策に、リスクファイナンシングについては、自社の利益や自己資
本等の財務力でカバーしようとする保有対策と融資や保険を活用する調達・移転対策に分けられます。
リスクがある以上、企業としてはまずリスクをコントロールすることが求められ、コントロール
し切れないリスクに対しては、できる限り保有対策で対応し、財務的に保有できない場合に調達
・移転対策を検討します。
つまり、保険の活用はリスク対策の中で最後の手段であると考えられます。そして、実際に適切
な保険活用にはその手順で検討することが非常に重要です。
なぜならリスクコントロール状況によって事故の起こりやすさや損失額は大きく変わりますし、
財務的な保有能力によっても保険の活用の仕方が全く変わってくるからです。
つまり、適切な保険活用を実施するためには、リスク対策の全体像から保険以外のリスク対策の
実施状況を見る必要があるのです。