企業の最適な保険活用の実践には、
一つのリスクに一つの保険というベストマッチングで
はなく、企業を取り巻くリスクの全体像を把握し、
優先順位の高いリスクから保険を検討することが大切です。
そのためには、保険を検討する前に適切なリスクアセス
メントを実施する必要があります。具体的には企業を取り
巻くリスクを特定(洗い出し)し、分析(影響度を把握)し、
評価(優先順位を決定)してリスクマトリクスを作成します(図表1)。
一般的に縦軸には損失の大きさを測る財務基準として財務
諸表の数値(例ではいちばん上に自己資本・純資産、中央
に経常利益、下に税引き後当期利益等)が入り、横軸には
起こりやすさの基準(発生サイクル)が入ります。
完成した図表に分析したリスクを置くことでリスクマトリ
クスが完成し、個々のリスクの会社への影響やリスク対策
の優先順位をビジュアル的に認識できます。
優先順位は一般的に「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」の順番にな
りますが、リスク対策の優先順位と保険の加入状況にはギャ
ップがあることが多く、特に「Ⅲ」の領域のリスクに多く
の保険が掛かっているケースが多いので注意が必要です。
リスクマネジメントの観点から考えると、「競合参入」等
の保険で直接的に補償できないリスクも含めてリスクマト
リクスを作成し、それらのリスクには生命保険等を用いて
ファンドを構築しておくことが求められます。
また、リスクマトリクスを作成することで社内のリスクに
関する認知を共有したり、高めることも可能となります。